マンダリンオレンジ in hatenablog

esujiがアニメ・漫画について書くブログ。はてなダイアリーから引っ越してきました

続・ゆゆ式MANIAC 4P25 2日目 「0コマ目の想像力」

 本エントリについての概要はhttp://d.hatena.ne.jp/esuji5/20130218/1361197953を参照されたし。
 また、私には当たり前のこと過ぎて昨日のエントリには書かなかったが、萌え4コマの最先端たる『ゆゆ式』について語ることは、すなわち、萌え4コマ全体について言及も同然である。


(・・・ちょっと主語を大きくしすぎたかもしれない。)

4P25 2日目 「0コマ目の想像力」

 昨日のカメラワークへの言及に続いて、t氏から出てきた言葉は

「S治さん、0コマ目の想像ってしたことありますか?」

であった。私は率直に

「ありません」と答えた。
 正直に言えば、”0コマ目の想像”が指す意味は分かるが、その意義がいまいちピンとこなかった。2回程、4コマをよく読む人が多い私のTwitter TLに問うてみたが、特に4コマ書き手でない方からは同じような回答を得たのみであった。
 t氏の言葉を私なりにまとめると以下の様なものである。

  • 0コマ目は1コマ目の前に在りて、その状況の起因である
  • 雑誌掲載分の1本目の0コマ目は掲載話全体の起因であり、
  • 各ネタの0コマ目はネタとネタの間を補完する因子である

 これを聞いて私は、1日目にも書いた4コマ漫画とアニメーションの話かと考えた。例えば、教室でゆずこ達3人が話をしている状況のネタが何本か続くとする。その1本目の起因及びネタとネタの間の空気感を考えることが、コマとコマの間をどうアニメーションさせるかを考察する話と同様に重要であるという指摘ではないかと思ったのだ。実際、昨日までの気付きを元にすれば、ネタ間≒0コマ目は、例を挙げれば俯瞰(カメラは上から)や煽り(カメラは下から)のカメラワークで終わったネタの状態をニュートラルに戻し、次の一本は目高(カメラは水平)でスタートさせる効力を持つと言える、というようなことではないかと。
 果たして、「それもある」ぐらいにはt氏の同意を得た覚えはある。しかし、とt氏は続ける。


「この一本は振り向きの動作から始まってるじゃないですか」と。

振り向きとシャフ度

4P25

(右上が1コマ目、以下、右下、左上、左下と続く)

さて、改めて4P25を見てみよう。
確かに1コマ目はゆずこが振り向いている場面である。
それの何が問題なのだろう、t氏は続ける。


「振り向きの動作には必ず事前の文脈があるんです」


「”0コマ目の想像”は私が前から考えていたことですが、とりわけこの一本は振り向くことから始まっているので、その直前を想像することが重要な意味を持つのではないでしょうか」


そこで分かりやすい例として「シャフ度」を挙げてもらった。
手っ取り早くどんなものかを以下に示す。

シャフ度 - Google 検索

(画像は検索結果からこれを使用させていただいた)
https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%95%E5%BA%A6&hl=ja&tbo=u&tbm=isch&source=univ&sa=X&ei=fKUTUcmgBaGhmQWfuICoAg&ved=0CE4QsAQ&biw=920&bih=915

 そもそもの発生についての考察等のきちんとした話はこちらにお任せするとして、現行の使われ方としては、作中での画面構成にアクセントを付ける意味合いが強いと思われる。個人的には、『化物語』シリーズや『ささみさん@がんばらない』での会話中心に進む場面を上手く保たせる印象が強い。
 何はともあれ、それまでの流れを受けてのキメ顔であるので、事前の文脈が存在しているのは疑いようもない。

 話を4P25に戻そう。
 シャフ度はキメ顔であることが多いので、ある程度極端な例であるとしても、確かに日常生活でふと振り返るには何かきっかけが必要だろう。折しもゆずこ達3人で歩いている特別で当たり前な時間、ゆずこは何に引き止められたのか、はたまた何かに気付いて振り返ったのか。
 答えは分かる気もするし分かり得ない気もする。少なくともここに書いてしまうのは少々野暮ったいことだ。

 想像の余地を残して、今日はここまでにしよう。
 次回は「4コマ漫画に色彩が生まれる瞬間、そしてそのフィードバック」を予定。

・・・・

某t氏とは多分おそらくきっとmaybe関係ないと思いますが、こちらのシャフ度記事も大変参考になりました。

魔法少女まどか☆マギカ」の演出ガイド〜新房昭之の語った「シャフ度」http://d.hatena.ne.jp/tatsu2/20120401/p1




1日目 「4コマ漫画のカメラワーク」
3日目 「4コマ漫画に色彩が生まれる瞬間、そしてそのフィードバック」
4日目 「カバンは扇子」