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esujiがアニメ・漫画について書くブログ。はてなダイアリーから引っ越してきました

続・ゆゆ式MANIAC 4P25 1日目 「4コマ漫画のカメラワーク」

序文

 去るコミティア103にてポストモダンのポリアネス vol.2「ゆゆ式MANIAC(偏執狂)」を無事頒布し終えた。それで言いたいことは言い終えたつもりであったが、ひょんなことからアニメ全般に詳しい某tさんと4巻P25について話していたら、様々なアイデアを頂いたので、許可を頂き、検証を私が行った上で、ブログ記事として公開する。
 4P25のただ一本のネタについて、何点かの新しい視点で論じていく予定である。

基本事項の確認

三上小又著『ゆゆ式』は、芳文社まんがタイムきらら』連載の4コマ漫画であり、その人気から今年4月からのアニメ放送も決まっている。極主観的なことを言えば、萌え4コマの最先端であり、人類の魂の水準を一段階上げる漫画である。

4P25

(右上が1コマ目、以下、右下、左上、左下と続く)

 以上が、問題の『ゆゆ式』第4巻P25の一本である。ページの上半分は扉絵となっており、雑誌掲載分で言えば、この一本が最初になる。
 前述のポモアネスvol.2にも書いたが、ここで基本的な画作りとして作者が心がけていることを『マンガルカ vol.1 「ゆゆ式」式(三上小又先生インタビュー)』から引用する。要点を拾うと、

  • 読みやすくて、自然で、飽きない。だからネームにはすごく気を使ってます。
  • 基本的には連続した映像を意識して、映画やアニメで撮るとこんな感じかなと、想像しながら作ってます。
  • 右にいるキャラから会話が始まって、左にいるキャラで落ちるっていう、視線の流れにそったアングルを探っています。

ということで、特に意識して画面作りが為されていることが分かる。
 さて、改めて4巻P25の一本を見てみよう。1コマ目でゆずこが振り返り、2コマ目でカメラが引いた後、さらにゆずこ達3人の中心を軸にカメラが回り、3コマ目は、右側に位置する唯から「ん? どした」の声、そして4コマ目はゆずこを右側にして「今わたし 良い感じじゃなかった?」と流れていく。前述の基本を押さえながら見事なカメラワークを見せる一本である。これについては前述の作者インタビューにて、インタビュアーの高瀬司氏が詳しく解説を行なっているので、そちらも参照されたし。

『マンガルカ vol.1』

『マンガルカ vol.1』

 私が知っているこの一本に対しての既存の議論は上記の通りであるが、そこから更にt氏から指摘が何点かあったことが本文を書いたきっかけである。すべてを書くと長くなってしまうので、何日かに分けて書いていこうと思う。

4P25 1日目 4コマ漫画のカメラワーク

 さすがはアニメの演出についても詳しいt氏、最初に指摘されたのはカメラワークについてである。
 私はあまり意識して見ていなかったが、1コマ目は若干の俯瞰(カメラは上から)、2コマ目はさらにカメラを下げたの俯瞰、3コマ目は若干の煽り(カメラは下から)、そして4コマ目は目高(カメラは水平)に落ち着いている。これは、ゆずこのネタ振りがドラマチックなカメラワークによってちょっと旅をして、最後には日常的な≒ニュートラルな目線の高さに落ち着くという演出にも効果を上げているように思える。この一本に限らず、ちょっとしたカメラの上下で構図を微妙に変えていることが、この指摘の後に本作を読んでいくと分かるようになった。

 また、以前から4コマ漫画とそのアニメ化についてt氏と話をさせて頂いていたが、その際はコマとコマの間の瞬間をアニメーションはどう表現するのか、という議論であった。しかし、この一本については2→3コマ目と3→4コマ目とで2度のカメラ位置切り返しを行なっているため、さらにアニメ化でどうなってしまうのかが注目されていくだろう。

 さらに、「4コマ漫画はコマが4つなので必然的に一本当たりのカメラワークも4つまでになる」という名言も頂いた。私が言葉を補足してしまうと「だからカメラワークについて考えることは重要である」だろうか。
 確かに、私なんかのド素人が4コマ漫画を描けば、すべて目高(カメラは水平)で設定してしまうことが想像に難しくない。これでも高校生の時分にコンクール用のドキュメントやドラマを作っていたが、その経験がまるで活きていないと猛反省してしまった。

 というところで初日はここまで。
 次回は「0コマ目の想像力」を予定。

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公式で情報処理部な活動が始まっているようです

おお、楽しそう。
元々この記事は今日書くつもりだったんですが、
せっかくなので企画に乗っておきましょう。



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2日目 「0コマ目の想像力」
3日目 「4コマ漫画に色彩が生まれる瞬間、そしてそのフィードバック」
4日目 「カバンは扇子」